「なぁ、優月」


「ん?」


「渋谷のこと、どうすんの?」


うっ。


すっかり忘れてた。


私、渋谷君に告白されたことになっているんだっけ?


ホントは違うんだけどな。


「好きなのか?」


「うーん。よくわからない。そんなふうに意識したことはなくて」


もともとは私が女の子達にやっかまれているから、蒼甫君と瀬名君と距離を置くために、渋谷君が気を遣ってくれたんだよね。


「ねぇ、瀬名君。瀬名君って、あんまり学校の女の子達と話さないよね。どうして?」


私は前から気になっていたことを聞いてみた。


「何?急に。
っていうかさ、女子と話す必要ある?」


「んー、そう言われると困っちゃうけど、瀬名君と話したがってる女の子って沢山いるから…」


そう。ホントに沢山いるよ。


蒼甫君だってそうだよ。


私だけ贅沢だよね。


いくら友達だからって、独り占めしちゃってる。


こんなに素敵な二人を…。