「優月、誰か来たっ。隠れよう」


「えぇっ?」


蒼甫君に手を引かれ、私達はコンクリートの影に身を潜めた。


出てきたのは、男の人と女の人のようだ。


私達みたいに、カップルなのかな?


って言うか、どうして隠れる必要があるんだろう?


「話って何?」


ん?今の声って…。


「ごめんね。こんなところに呼び出して」


あっ、あれって隣のクラスの女の子?


そして、男の子の方は…。


「あの、私。瀬名君のことが好きなんだ。

良かったら、付き合ってもらえないかな」


わっ、告白だ。


思わず顔を見合わせる私と蒼甫君。


私はなんとなく、自分の口元を手で押さえた。


「悪いけど俺、付き合えない」


うっ。瀬名君、返事が早い。


「どうして?付き合ってる人がいるの?」


「……いない」


瀬名君の答えを聞いた、蒼甫君の眉毛がピクッと上がる。


「だったら、考えてみて欲しい」


「無理だ。好きな人いるから」


「えっ?それって、誰?」


「そんなこと、お前に言う必要ないだろう?」


「だって聞きたいんだもの。それ聞かなきゃ引き下がらないから」


「……。絶対に言わない」


せ、瀬名君って女の子に厳しいんだね。


知らなかった。


私達にはあんなに優しいのに。


「ね、ねぇ。もしかしてだけど。



瀬名君の好きな人って…。





竹内さん…?」



え…?