私が戸惑っていると、蒼甫君が私の腕を引いて、膝の上に座らせた。


すぐに後ろから抱きしめられる。


「どう?ちょっとはあったかい?」


「うーん。お尻はあったかいけど、あんまり変わらないかな?」


だって、前から冷たい風がビュービュー吹いて来るんだもの…。


「そっか。じゃあ立つよ」


そう言って蒼甫君は立ち上がり、私を前から抱きしめた。


蒼甫君が抱きしめる腕に力を入れる。


「どう?これならあったかい?」


「うん…」


蒼甫君の腕と胸はあったかいし、ホッとする。


私はそっと目を閉じた。


「ねぇ、優月」


「ん…?」


「俺、最近忙しいけど。だからって、他の男のところに行くなよ?」


「えー?なにそれ?」


「寂しいからってダメだからね?」


「そんなことするわけないよっ」


もうっ。何?突然。


どうしたんだろう。


その時だった。


ギィーッと重い扉が開く音がした。