この頃蒼甫君が忙しくて、学校の休憩時間以外あんまり一緒にいられなくなってしまった。


だから、昼休憩のこの屋上での時間は、二人にとってとても大事な時間だ。


「今日も寒いねー。そろそろ中に入る?」


「ん…。もうちょっといよう」


「う…ん。いいけど…」


さっきから座っているベンチがすごく冷たくて、おしりと足の感覚がおかしくなっている。


「蒼甫君。ドラマの撮影どう?」


「うん。それがさー、自分が想像していたよりも、すげー短いカットでちょっとずつ撮るんだよ。

だからセリフがこんだけしかなくても、全部撮り終わるのに、めっちゃ時間がかかるんだ。

それには驚いた」


「そうなんだ」


下からゴーッと風が吹き上げてくる。


寒いのが苦手な私は唇が震え始めた。


いつもはそれに気づかない蒼甫君じゃないのに…。


「そ、蒼甫君。ホントに寒い。そろそろ教室に入らない?」


「あー…。だったら、俺の膝の上においでよ」


「え…?」


「抱きしめてあげる」