蒼甫君がオーディションを受けると決めてから、1週間以上経った日曜日。


ついにオーディションの日がやって来た。


当然だけど、私は同行出来ないので、事務所でイチャさんと過ごしていた。


「どうなってるかしらね」


朝からソワソワしっぱなしのイチャさん。


「イチャさん、お茶入れますよ」


「ありがと」


今回私は全然ピンと来ていなかった。


なんだか他人事のように感じていた。


多分、前回の戦隊ヒーローモノに蒼甫君が採用されなかったせいかなと思う。


だから、また今回も採用されないだろうなって思ってしまう。




夕方になって、蒼甫君と守屋さんがやっと事務所に戻って来た。


「二人ともお疲れ様。ーで、どうだった?」


二人に駆け寄るイチャさん。


「イチャさん。今回はちょっと好感触ですよ。早ければ今晩か、明日にでも連絡が入ると思います」


守屋さんが自信満々ににっこり笑う。


「まぁっ!そうなの?楽しみね~」


好感触?


うそ…。


どうしよう。


「優月」


「蒼甫君…」