「神崎、一緒に出よう」


真っ直ぐに蒼甫君を見つめる洋平君。


「だから俺はやる気ねーんだって」


そうだよね。


興味ないことやれって言われても…。


蒼甫君にはサーフィンがあるんだもの。


好きだからこそ、寒い冬でも練習出来るんだから…。


「蒼甫。タダとは言わないわ」


振り返るイチャさんの目が、急にギラリと光る。


こ、この目。


前にも見たような気が…。


「優月ちゃんとのデート代を払うわ」


はっ?


今なんて?


「千葉にある巨大テーマパークのパスポートはどうかしら?」


ちょっとちょっと。


イチャさん何言ってるの?


そんなことで蒼甫君が従うわけな…。


……っ!!!


なんか蒼甫君、表情が…。


「なんなら、宿泊費も出すわよっ」


しゅっ、宿泊っ?


わ、私達、高校生なんですけど?


「どうかしら?」


蒼甫君、まさか引き受けないよね?


こんな馬鹿げた話に乗るわけないよね?


あまりに幼稚な駆け引きだよ?


普通、気付くよね?


ねっ?


「オーディションさえ受けたらいいの?」


ん?


「えぇ」


「合格しなくても?」


「えぇ」


「二人分のパスポートとホテル宿泊だよね?」


「えぇ」


「わかった!受けるっ!」


はっ?


「うふっ。じゃあ決まりねっ」


な、な、なんですとっ?


嘘でしょ~?


なんでそうなるのーーーっ???