あの時薫さんは、瀬名君と別れて目標が無くなったから大学を辞めたと言った。


あれも、嘘なんだ…。


「許せない…」


「え?」


「ひどすぎるよっ!人の人生、なんだと思ってるの?」


私は怒りに震えていた。


人に対してこんなに腹が立ったのは、生まれて初めてかもしれない。


「まぁ、とにかくさ。裕樹に話してみることだな」


「うん…」


「でもさ、彼女にそんな嘘つかれてたって知ったら、もう付き合えないよな。

俺なら確実に別れる」


あ…。


そうか。


洋平君は知らないんだね。


二人がもう別れていること。


「ん?どうした?」


「あ、うん。実はね、薫さんと瀬名君、もう別れてるの」


私の言葉に洋平君が目を大きく見開いた。


「はっ?ま、まじで?いつだよ?」


「去年のクリスマスの前って言ってた」


洋平君はスッと腕を組んだ。