「それが今、俺が所属してるコズミックだよ。

設立は今から2年前の12月の初め」


「今から2年前の12月…?」


やっぱりそれって…。


「その時期ってね、薫さんが瀬名君の前から消えた時期なの」


「え?」


「二人は当時付き合ってたんだけど、クリスマスの前に、突然薫さんが瀬名君の前から消えたの。

アパートも引き払って、音信不通になって…」


瀬名君は、必死に薫さんを探したんだよね…。


「うーん」


洋平君が顔をしかめる。


「それはやっぱり、事務所立ち上げに関わってるからかもしれない。あくまで噂だけど…」


薫さんは妊娠したからだと言ったけど、事務所立ち上げの時期と重なってるのがどうしても疑わしい。


「瀬名君より、仕事をとったってことなのかな…」


「その頃の裕樹は中学3年だろ?さすがに足手まといだったんじゃねぇの?

会社を立ち上げるようなバリバリの先輩を目の前にして、中学生の彼氏がいるとは言えないと思うけどな」


「でも、黙って消えちゃうなんて…」


もしそうだとしたら、ひどいと思う…。