スキー場からの帰りのバス、私は蒼甫君の隣に座った。


2泊3日の修学旅行は、終わってしまえばあっという間だった。


「あーあ。俺、優月とずっと一緒に過ごすつもりだったのになあ」


「しょうがないよ。蒼甫君上手いんだから」


「俺、最終的に上級コースに行かされてさ。静華と張り合い過ぎて疲れたよ」


思わずクスッと笑った。


さすが、蒼甫君だなあ。


「優月は、誰と過ごしたの?」


「ん?んー。瀬名君だよ」


蒼甫君が一瞬表情を変える。


「そっか」


そう言って口角を上げて見せるけど、何か腑に落ちてない様子が伝わって来る…。


瀬名君は薫さんと別れた…。


それを聞いたら、蒼甫君はどう思うんだろう?


なんだか、それを伝えちゃいけない気がする。


どうしてかわからないけど…。


私はそんな気がしていた。