「どーしたんだよ、お前ら」


渋谷君が問いかけた。


「修学旅行と言えば、女子が男子の部屋に行くのが醍醐味じゃない?」


「なんだよ、それ?」


「いいから、いいから」


静華ちゃんは余裕の笑顔だ。


「よく来てくれたね」


そう言って優しく微笑むのは斉藤君。


気がつけばさっちゃんは、斉藤君の布団の上にちゃっかり座っているし。


私もとりあえず、蒼甫君の近くに行くことにした。


「優月、よく来れたね」


「静華ちゃんのパワーってすごいよ…」


ふと隣を見ると、瀬名君があぐらをかいて座っていた。


「この部屋ってあんまり広くないんだね」


私がそう言うと、瀬名君はこの部屋が一番狭いらしいと教えてくれた。


一人の男子を除いてはいつものメンバーなので、みんなだんだんリラックスしてきて、おしゃべりを楽しみ始めた。


「トランプでもする?」


渋谷君の提案に、私達はトランプをすることにした。


大富豪をやったんだけど、なぜか静華ちゃんがダントツに強い。


私はてんで弱くて泣きたくなった。


「どうしてお前はゲームでも金持ちなんだよ」


「知らないわよ」


「手加減しろよなー。見てみろよ。優月なんて大貧民続きだぞ」


「そんなこと言われてもさぁ」


「い、いいよ。ゲームなんだから…」


そう言ってみんなで騒いでいる時だった。