「ねぇ、優月ちゃん。蒼甫の事なんだけど」


「はい?」


「あの子、ドラマに出ないかしら」


うっ、またそのテの話?


「蒼甫君はもうやらないと思いますよ」


だって、もうやる理由がないもの。


「来年春からのドラマなんだけど、主人公の弟役に新人で誰かいないかって話があるのよ。

高校生の子が希望らしいのよね。

よそにも声はかかってるみたいなんだけど、蒼甫なら勝ち取れるんじゃないかなって気がするのよ」


イチャさんは確信を持ったように言うけれど、私はうーんと首を傾げた。


「無理だと思いますよ。やる気がないみたいだったから」


「そうなのぉ?それは残念ね」


肩を落とすイチャさん。


仕方ないよね。


興味のない事をやれと言われても…ね。