「お前、帰らなくていいのかよ」


「え?あ、そっか。もう7時過ぎてるね。そろそろ帰らなくちゃ」


そう言って、登っていた花壇の端からぴょんと飛び降りる竹内優月。


「でも、もうちょっとだけ見て帰りたいな。
洋平君、先に帰っていいよ。
私、もう少しだけ見て帰るから」


はっ?何言ってんの?


お前一人、ここに残せっての?


バカか!


そんなことしたら危険だろうが。


一人になんて出来るかよ。


「いいよ。もう少し付き合ってやるから」


「ホント?ありがとう」


にっこり嬉しそうに笑う竹内優月。


あれ?


俺、何やってんの?


一人残しても危険じゃねーだろ?


別にコイツなんか。


…………。


いや。


ダメだ。


危なっかしい。


「洋平君、来て。ここすごい綺麗」


そう言って手招きをするアイツ。


近くに行く俺。


「見て見て。ほら」


俺は、そんなもんどうでもいい。


お前を見てる方がおもしれーんだよ。


「綺麗でしょ?」


お前の方が綺麗だよ。


って、おいっ。


俺、何言ってんだ?


思わず自分にツッコミ入れたわっ。


ふぅ…。


なるほどな…。


裕樹や神崎がコイツに夢中になるの、ちょっとわかった気がした。


目を奪われるんだな。


この、計算のない笑顔に…。


俺はコイツとしばらくイルミネーションを眺めた。


奇妙な


それは奇妙な


クリスマスイブの夜だった。