「なあ、竹内優月。

もしかして裕樹、樋口さんに騙されてるんじゃないのか?」


「え…?」


「その事情ってのが何だか知らねーけど、案外それ、嘘かもしれねーぞ」


そんな…。


薫さんのあの涙が嘘?


そんなこと、信じられない。


「この世界って華やかに見えるけど、裏じゃ汚い事も沢山起こってるんだ…。

偶然再会して、裕樹をモデルにしようって思い付いて、とっさについた嘘って事も考えられるぞ」


どうしよう。


目の前がクラクラする。


「もともと裕樹はモデルなんかに興味ないんだろ?

普通に頼んだら引き受けてもらえないのわかってて、何か弱みにつけ込んだ可能性はないか?」


私は頭をかかえた。


「おい、大丈夫か?」


目の前が真っ暗になる。


「洋平君が言うことが本当だったら…」


瀬名君が騙されてるんだとしたら…。


「どうしたらいいの…?」