パチパチと優しく奏でる暖炉の音だけが、リビングに響き渡る。


大きな窓を背に立っている瀬名君を、みんながじっと見つめている。


「モデル…?」


「瀬名が…?」


「ちょっと瀬名君。どういうことなの?」


洋平さんから出てきた言葉があまりに意外だったのか、みんなまだ飲み込めていないようだ。


「俺、今年の夏休みの終わりに、モデル事務所に入ったんだ。
来年からは雑誌のモデルをする予定になってる」


瀬名君は静かにゆっくり話した。


「ごめん。黙ってて。なかなか言えなかった」


瀬名君が申し訳なさそうに目を細める。


みんなに黙っていた事、瀬名君なりにつらかったのかもしれない。


「すご…い」


「え?」


「瀬名君、モデルになったなんてすごい!」


そう言って目をキラキラさせているのはさっちゃん。


「瀬名君、前からモデルっぽかったもん。絶対合ってるよ。カッコイイ!」


瀬名君が目を大きく見開く。


「ありがと…。さっちゃん」


そう言うと、瀬名君はにっこり微笑んだ。


「ホント、すげぇよなー」


「瀬名、有名になっちゃうの?」


さっちゃんの言葉で、みんな笑顔になった。


良かった。