そして迎えた、クリスマス・イブ。


私とさっちゃんと斉藤君は電車に揺られていた。


静華ちゃんの家は、蒼甫君がサーフィンの練習をする海から、そう遠くない場所にあると聞いた。


今年の冬休みもサーフィンをする蒼甫君は、おじさんの家から行くと言っていた。


静華ちゃんと同じ中学だった渋谷君は、近いこともあって直接行くようだ。


そして瀬名君は、友達と一緒に来ると話していた。


「静華ちゃんの家ってどんなんだろうねー」


「なんか想像つかないよなー」


青雲への影響力を考えると、静華ちゃんの家がいかにすごいか頭ではわかるのだけど。


「なんかドキドキしちゃうよね」


私達は電車を降りると、バスに乗り換えた。


バスは海沿いから逸れて、山の方へと上がっていく。


しばらくすると、景色が住宅地に姿を変える。


なんだか立派な家の多い通りだなあ。


「次で降りるみたいだよ」


斉藤君の合図で、私達はバスを降りた。


見知らぬ土地に、私とさっちゃんはキョロキョロしてしまう。


基本、女子は地図を読めない。


「こっちだよ」


斉藤君、頼りにしてます…。