「お前って、案外律儀なんだな」


ヨウヘイが目を細めて笑う。


「じゃあ、お前。この仕事が終わったら、もうモデルの仕事はしないのか?」


「うん」


もう、しないよ。


瀬名の気持ちも聞けたし、やる理由がない。


社長が優月に何か言って来たら、今度こそあのバイトを辞めさせる。


「もったい…ないな」


「えっ?」


「頼まれて仕方なく引き受けたんだろ?」


「そうだけど?」


「それで、このクオリティだろ?」


「ん?」


「辞めるなんて惜しいと思う」


何言ってんだよ。


そんなお世辞言っても、俺はやらねぇ。


「俺、この半年色んなモデル見てきたけど…。
その中でもお前はかなり光ってたよ」


「何だよ、それ」


「見込みがあると思ったから、腹が立ったんだ。
じゃなきゃ、あんなにムキになって怒ったりしない」


そんな事言われても…。


「まぁ神崎の人生だし、俺が口を挟む事じゃないのかもしれないけど」


そう言うとヨウヘイは立ち上がり、着替え室に入って行った。


俺は何を言われても、もうこの仕事はしない。


絶対に…。