私は広告代理店の芝田さんを探した。


「おはようございます。高田芸能事務所の竹内です。書類をお持ちしました」


「あーどうも。竹内さんですよね?イチャさんから聞いてますよ」


私は芝田さんに書類を手渡した。


「はい、確かに。ありがとうございます。
いやあー神崎君、頑張ってますよ。彼、すごくいいですね」


そう…なんだ。蒼甫君。


すごいね。


本格的なトレーニングを一度しか受けてないのに…。


才能…なのかな。


「芝田さん」


「どうした?ヨウヘイ君」


えっ?ヨウヘイ?


はっとして振り返ると、ヨウヘイさんが私の真後ろに立っていた。


「芝田さん、この人誰なんですか?」


怪訝そうに尋ねるヨウヘイさんは、相変わらず切れ長で鋭い瞳だ。


「あぁ。こちらの方?彼女は高田芸能事務所のスタッフの竹内さんだよ」


芝田さんがそう言うと、ヨウヘイさんが目を見開いた。


「あのっ。私、用事がすみましたので、これで失礼します」


私は二人に頭を下げて、走ってスタジオを出た。


蒼甫君や瀬名君には会えなかったけど、また学校で会えるし、いいよね?


とにかく帰ろう。


私みたいな高校生がウロウロしてたら、蒼甫君がなんて言われるか…。


「おいっ」


刺さるような声に、ドキッとして振り返る。


そこには、シルバーに輝く髪のヨウヘイさんが立っていた。


「おい、付き人」


ど、どうしよう。


また怒られるっ。