瀬名君がびっくりしたような顔をしている。


でもその直後、綺麗に笑った。


「蒼甫にはかなわないな」


「へっ?何が?」


「お前のそういう前向きなとこ。
すげぇなって思って」


ホントそうかも。


蒼甫君っていつもすごく前向きだよね。


「お前、新学期始まってから、暗過ぎなんだよっ。

悩みそうな時はな、下向かずに上向け」


「なんだ、それ?」


「下向いてるからつらくなんだよ。

そんな時はこうやって顔上げてみな。

気分が変わるから」


「そうなの?」


「これホント。やってみ」


私は試しに顔を上にあげてみた。


雲ひとつない真っ青な空がすごく綺麗だ。


本当だ。


こうしていると悩みなんて、どっかに行ってしまうような気がする。


「瀬名君、これすごいかも?簡単なのに、意外と効果あるよ」


「マジで?」


瀬名君はフェンスに足をかけて、空を見上げた。


そのシルエットがすごく綺麗で…。


天使みたいって思ってしまった。