「やりたいかやりたくないかって聞かれたら、本当はこんなことやりたくない。

だけど、アイツのために売れなきゃならないんだ。

こんな気持ちで仕事してること、友達に話したくなかったんだよ」


瀬名君…。


やっぱりそうだったんだ。


薫さんのために…。


本当はやりたくないのに…。


「なぁ、瀬名。
俺もさ、実際にモデルの仕事やってみて、すげー大変な仕事だっていうのはよくわかった」


そうだよね。


蒼甫君、毎日ポージングの練習したもんね。


蒼甫君の事だから、きっと家でも練習していたに違いない。


「本当はやりたくないのに、この仕事をやらないといけないんだとしたら、多分相当つらいだろうと思うよ」


求められることは沢山あるし、代わりだっていくらでもいるもんね…。


なんて厳しい世界なんだろう。


「でも、それでもどうしても薫さんのためにやらなくちゃいけないんだったら」


蒼甫君が瀬名君を真剣な目で見つめる。


「楽しんでやってほしい。
どうせなら、とことん売れてしまえ。
いっそのこと、頂点目指せよ」


蒼甫君…。


そうだよね。


ここで私達が止めたって、瀬名君は薫さんのためにやるって言うに違いないもん。


だったら…。


同じやるんだったら、楽しんで。


そして成功してほしい。