「優月に急ぎの用ってなんだよっ」


瀬名君、イライラしてる…。


「…言った…」


「は…?」


うつむき加減の渋谷君に、みんなの視線が集まる。


「竹内に、付き合って欲しいって言った」


「渋谷君っ!?」


私はビックリして思わず大きな声を出してしまった。


みんなも驚いた顔をしている。


「ずっと竹内が好きだったから告白した。まだ返事はもらってないけど」


渋谷君…。


どうしてそんな嘘を?


「とりあえず伝えられたし、今日はこれくらいにしとくよ。

竹内、返事待ってっから。

じゃ、俺はこれで」


渋谷君はそう言うと、校舎へと走って行ってしまった。


その後ろ姿を四人でじっと見つめる。


私は背中に変な汗が流れるのを感じていた。


「あの人って、優月ちゃんと選択授業が一緒の人?」


「……うん。渋谷君っていうの」


「告白されたの…?」


うっ。


ホントは違うんだけど。


でもここは渋谷君の話に合わせた方がいいかな…?


「うん…」


横目でちらりと蒼甫君と瀬名君を見てみれば、眉間にシワを寄せて明らかに困惑した様子だ。


「それで、優月ちゃんはどうするの?」


「う…ん。どうしたらいいかな…?」


さっちゃんの問いに、私は苦笑いをするしかなかった。


しばらく考えてみる、とだけ返事をした。