そして、迎えた撮影当日。


はじめは守屋さん一人が同行する事になっていたのだけど、蒼甫君がどうしても私と一緒に行くと言って聞かなくて、やむを得ず私は『付き人』という形で同行する事になった。


ただ、私があまりに子供っぽいと怪しまれるかもしれないからってことで、イチャさんにメイクをされてしまった。


服装も20代の人が着るような服に着替え、だて眼鏡をかけた。


蒼甫君が私を見ていきなり、『一瞬誰だかわかんなかった』って言ったから、イチャさんのメイクってすごいのかもしれない。


ちなみに蒼甫君に変?って聞いたら、それはそれですんげーそそられるって言われて、なんだか恥ずかしかった。





「おはようございます」


本日撮影が行われるスタジオに到着すると、私達三人は大きな声で挨拶をしてスタジオ内に入った。


守屋さんは、デザイナーの松波さんに挨拶をし、蒼甫君を紹介した。


松波さんはファッションデザイナーだけあって、とてもオシャレだ。


髪型も髪の色もちょっと個性的だけど、それでもすごく似合っていると思う。


「キミ、写真で見るよりずっとかっこいいね。キミみたいな人に僕の作品を着てもらえるなんて嬉しい」


そう言って笑う松波さん。


すごく謙虚な人だなって思った。


私達はカメラマンさんや、ヘアメイクさん、その他大勢のスタッフさんに挨拶をし、そして今回の仕事を請け負っている広告代理店の担当者さんにも挨拶をした。


イチャさんに『現場ではハキハキ挨拶をしなさい』としつこく言われていたけど、本当に挨拶って大事なんだなあと現場に来て思った。


その時だった。