「優月っ」


ハッとして振り返ると、さっちゃんと瀬名君と蒼甫君がこちらに走って来ていた。


「どうしたんだよ。

昨日は一人でいつの間にか帰ってたし。

今日は今日で休憩時間のたびにいなくなるし。

4時間目終わったらすぐに教室飛び出すし。

何かあったのか?」


蒼甫君が心配そうに私の顔を覗き込む。


「ごめんね。何でもないの」


「ホントに何でもないのか?」


うっ。瀬名君の目が鋭い。


どうしよう。


何て説明しよう。


困って言葉に詰まっていると。


「俺が呼び出した」


渋谷君が急に立ち上がった。


は?


渋谷君、今なんて言った?


「お前…1組の渋谷だったよな?」


瀬名君、さっきから目が怖いよ。


「話があったから、4時間目の授業が終わったらすぐここに来て欲しいって、メールで呼び出したんだよ」


何それ?


あ、そうか。


渋谷君、私に気を遣って嘘をついてくれてるんだ。