写させてもらったノートの文法をなんとか頭に叩き込んで、俺はちょっと一息ついた。


ペットボトルのお茶を、2、3口飲む。


さっきから、部屋によく風が入る。


そのたびに、優月の髪がさらさらと風に揺れる。


こうして見てると、やっぱり優月って可愛い。


美人…とは、ちょっと違うんだよな。


かと言って童顔で可愛いってわけでもない。


わかんないんだけど、可愛いんだ。


多分笑顔とか、雰囲気とか、声とかが、俺のツボなんだと思う。


まぁ俺以外にも、優月の良さに気づいてるヤツがいるのがムカつくけどね。


「ん?」


やべっ。


じっと見てるの、気づかれた。


「休憩中?」


「うん。そう」


「あ、あとで数学教えて欲しいな」


「いいよ」


優月の家って共働きなんだよな。


あんまり詳しくは聞いてないけど、おやじさんの会社、年々業績が悪くなってるとか。


優月のお母さんは、お母さんの友達の店を手伝ってるとか言ってたな。


なんの店だっけ?


花屋?


忘れた。


優月が必死でバイトしてんのも、青雲に通うためだって言ってたもんな。


進学はどうすんのかな。


そういう話、あんまりしたことないけど…。