それから何日か経った9月の終わり。


私がバイトに行くと、イチャさんが事務所の中で踊っていたんだ。


あまりのはしゃぎっぷりに呆然としていたら。


イチャさんが私に抱きついて、こう言った。



「蒼甫、書類審査通ったのよーーー!!!」



うっ。



蒼甫君、書類審査通ったんだ…。



「本来、俳優じゃないとダメなんだけど、あのルックスとスタイルは、他の子達に絶対引けを取らないものね。

しかも、特技がサーフィンだもの。

あの子の名前でネット検索すると、コンテストの入賞記録が沢山出てくるのよ。

それも大きなポイントになるわ」


イチャさん、本気で蒼甫君を売り込むつもりなんだ。


もう、本当にどうしたらいいの?


喜んでいるイチャさんを尻目に、私は不安でたまらなかった。