「この前の雑誌だけど、彼はあの雑誌の専属モデルってわけじゃないみたい。

でも、見開き2ページももらえるって、かなり見込みがあるわね。

読者に気に入られれば、専属モデル契約も夢じゃないかもねぇ」


瀬名君…。


本格的にモデルになっちゃうの?


なんだか遠い存在になっちゃうね。


「いずれにせよ、彼女のためにやってるんだから、あなた達が口出しするのはナンセンスなんじゃない?」


「…だよな。

だけど、どうして俺らに何も言ってくれないんだろう…」


「こういうこと、あんまり大っぴらに話さない子も世の中にはいるのよ。

いいんじゃない?

そういう派手さのないところが、彼の魅力なんだから」


そう…なのかな。


でも、なんだか寂しいよ、瀬名君…。





私と蒼甫君は、なんだか腑に落ちないまま、事務所を出た。


「瀬名が、モデルになるなんてな…。

実はさ、アイツと買い物とか行くと、よく声をかけられてたんだ。

モデルになりませんか?って。

俺も瀬名も当然無視だったけど。

アイツ、ああいうのすごく嫌ってたから。

なのに薫さんのためなら、イヤなことでも出来るんだな。

きっと、本気なんだろうな」


「そうだね」


好きな人のためだから…。