しばらくすると、蒼甫君が着替えとヘアメイクを終えて出てきた。


蒼甫君は爽やかなブルーのシャツに、白のパンツを履いている。


足元にはスニーカー。


髪型も無造作に、でもかっこよくセットされていて、私は思わず見とれてしまった。


「いいじゃない」


湯崎さんがニッコリ笑う。


「イチャさん、いい子見つけたね」


イチャさんも嬉しそうに笑っている。


「神崎君。今日は全身写真と、上半身と、アップの写真撮るからね。

さ、こっち入って」


蒼甫君は言われるまま、スクリーンの前に立つ。


助手と思われる人が、照明のスイッチを入れていく。


「じゃあ、神崎君。いくよ。適当に笑ってて」


蒼甫君は持ち前の明るさで、色んな表情を出していく。


ポーズだって自然なのに、それでいて決まっていて。


サーフィンで鍛えられているせいか、体の線がすごく綺麗だし。


あっと言う間に、全身写真は撮り終わってしまった。


「次は上半身だね」


カメラの位置が移動する。


「じゃあ、行きます。自然な笑顔ください。はい、OK。

今度、こっち見て。はい、OK

次はちょっとカメラを睨んで。おっ、いいね。はい、OK」


すごい。


蒼甫君、全然緊張してない。


初めてじゃないみたい。


「優月ちゃん、彼、才能あるわよ。
もったいないわ~。このまま埋もれさせるなんて」


蒼甫君…。