次の日、私と蒼甫君はイチャさんに指示されたスタジオへと向かった。


「ここ…?」


紺色一色のシンプルな壁。


STUDIO-αと書かれている。


シンプルなガラス戸を開けて、私と蒼甫君はスタジオ内に入った。


「待ってたわよ」


「イチャさん」


イチャさんはすでに到着していて、私達を待っていたようだ。


「時間ないから、パパッと撮っちゃうわよ。
神崎君、着替えてすぐにヘアメイクよ」


「あ、はい」


そう言うと蒼甫君は、別室へと向かった。


スタジオの壁には、よく写真館で見るようなスクリーンが垂れ下がっていて、中央にはカメラが置かれている。


「優月ちゃん、こっちにいらっしゃい」


イチャさんに手招きされ、私は走ってイチャさんの元へ行った。


「こちら、カメラマンの湯崎さんよ」


「竹内と言います。今日はよろしくお願いします」


「湯崎です。イチャさん、この子も撮るの?」


「ううん。残念だけど、この子はうちのスタッフなのよ」


「へぇ、そうなの?可愛いからタレントさんかと思った」


「でしょう?もったいないでしょう?でもこの子、全然興味なくて」


……。


イチャさんてば、一体なんの話をしてるんだか。