バイトの帰り道、私はぐったり疲れていた。


蒼甫君をバイト先に連れて行くと、どうしてこんなに疲れるのかな…。


「優月。ごめんな。
勝手にオーディションなんて引き受けて」


「書類を作るから、明日スタジオに写真を撮りに行くって言ってたよ」


「優月も一緒じゃなきゃ行かないって言ってあるし。

優月のバイト代も出るし、良かったじゃん?」


「そんなっ。バイト代の問題じゃないよ。

本当にいいの?オーディションなんて受けて」


「大丈夫だろ?俺が受かるはずないって。

戦隊モノって言ったら、きっと全国から物凄い数の応募があるんだろ?

俺なんて書類選考で落とされんじゃね?」


そうかなあ…。


蒼甫君って、本当にこのままテレビに出たっておかしくないくらいの容貌なのに…。


「心配するなって」


「う…ん」


「あんまり心配してっと、人前でチューするよ」


「うっ。やだ」


「じゃあ、もう心配しない」


「……。


はーい…」