その日の放課後、私と蒼甫君はイチャさんの事務所へ向かった。


私達は途中コンビニに寄って、クラスの女の子達が見ていた雑誌を買った。


「おはようございまーす」


私と蒼甫君は事務所の中へと入った。


「あらー。神崎君も一緒で、どーしたの~?」


イチャさんが目をぱちくりさせている。


「すみません。ちょっと俺の友達の事で相談があって。いいですか?」


「もちろんいいわよ。あなたはこの事務所のタレントみたいなモンじゃなーい。いつでも大歓迎よ」


いやいや。


違うでしょー、イチャさん。


「ーで、お友達がどうしたの?」


イチャさんが机に体を乗り出す。


私は紅茶を入れて、二人の前に置いた。


「ちょっとこの雑誌、見ていただけますか?」


「んー?メンズ向けのファッション誌ね。

創刊されてまだ間がないけど、最近、発行部数が伸びて来てるのよ」


そうなんだ。


結構人気がある雑誌なんだね。


「このページを見てください」


「どれどれ。あらまー。すんごいいい男じゃなぁい。顔も整ってるし。

ちょっと陰があって、なかなかセクシーでいいと思うわ。

この子がどうかしたの?」


私と蒼甫君は顔を見合わせた。


「コイツ、俺らの友達なんです」


「……っ。えーっ!じゃあ何?この子、高校生なのぉ?」


イチャさんが雑誌をもう一度見直している。


「一年の時から同じクラスなんです」


「こんな子が優月ちゃんの身近にいるなんて。

早く紹介して欲しかったわ。よそにとられる前に」


だーかーらっ!


紹介なんてしませんってばっ!!