ほぼ直角に重なったせいか、


お互いの唇が深く沈み込んでいて、


最初から舌が到達していた。


強く絡められて、意識が遠のいていく。


身体が沈んでしまいそうで、私は思わず蒼甫君のシャツにしがみついた。


蒼甫君が左腕で私の身体をぐっと支え、そしてもう片方の手は、私の頬を優しく包んでいる。


私達の間を9月の風が通り抜け、その風に乗って、蒼甫君の前髪が私の頬を優しく撫でる。


それが心地よくて、なんだかうっとりしていたら、チュッと音を立てて蒼甫君の唇が離れていった。


私はゆっくり目を開けた。


身体を真っ直ぐに起こすとすぐに、蒼甫君に後ろから抱きしめられた。


「優月、可愛い」


蒼甫君の言葉に、私は顔から火が出そうになった。


「優月って、キスがうまいよね」


……っ!


ななな、なんてことっ。


「何度でもしたくなるよ」


そう言って後ろから、私の頬にキスをする蒼甫君。


もうっ。


もう、もう、もうっ。


蒼甫君の意地悪!


もう知らないっ。