その日の昼休憩。


みんなとお昼ご飯を食べた後、私と蒼甫君は屋上に来ていた。


まだまだ暑いけど、吹く風が少しだけ涼しくなったような気がする。


蒼甫君はフェンスの下のコンクリートの前に、あぐらをかいて座っている。


私は、蒼甫君の隣に座った。


「アイツ、バイト始めたって言ってたよな」


「うん。薫さんの仕事を手伝うって言ってた」


「それがモデルの仕事?ワケわかんねーな」


瀬名君はあの時、何の仕事をしているのかは言わなかった。


言いたくなかったのかもしれない。


だって、瀬名君の性格からして、モデルの仕事を自分からやりたいなんて言うだろうか?


私がカメラを向けただけであんなに嫌がるのに。


だとしたら、薫さんのため…?


「薫さんの仕事って、一体何なんだろう…」


「優月。イチャさんなら知ってるんじゃねぇかな」


「あっ、そうか」


どうして気づかなかったんだろう。


身近に詳しい人がいたのに。


「優月、今日バイト?」


「うん」


「俺も行くから。一緒に聞いてみよう」


「わかった」


瀬名君が変な事に巻き込まれてないといいんだけど。


だって、どう考えても瀬名君の性格に合わないもの。


「優月」


「ん?」


「ここ、座って」


「えぇっ?」


ここって……。


蒼甫君の前?