始業式が終わると、普通に授業が始まった。


化学の授業なので、私達は理科室に移動していた。


夏休み明けの授業のせいか、なんかみんなダルそうだ。


瀬名君のさっきの笑顔ってなんだったのかな?


良かったねとか、そういう意味なのかな?


深く考えてもしょうがないんだけど。





授業が終わり、席を立って教室に移動しようとした時、蒼甫君が私のそばにやって来た。


「優月。ちょっとこっち来て」


えっ?なに?


どうしたの?


クラスのみんなが理科室を出て行く中で、違う方向へ私の手を引く蒼甫君。


連れて行かれたのは、隣の理科準備室だ。


「ど、どうしたの?」


蒼甫君が、準備室のドアをパタンと閉める。


「優月」


せつなそうに私を呼ぶと、いきなり抱きしめられた。


「そ、蒼甫君っ?」


「優月、会いたかった…」


……。


そうだよね。


だって、半月ぶりだもの。


私も会いたかった。


私もそっと蒼甫君の背中に腕を回した。


お互いに強く抱きしめ合う。


なんだか、胸が熱くなってくる。