8月の後半、私はイチャさんの事務所に週3日通う事になった。


久しぶりに事務所に行くと、イチャさんに熱烈な歓迎を受けた。


「やだぁ~優月ちゃん。ちょっと日焼けしたわね~。

毎日海にいたんじゃ、しょうがないわよね~。

でも、なんだか綺麗になったわ」


「えー?ほんとですか?」


「恋ね?」


ドキッ。


「彼氏でも出来た?」


ひゃ~。


イチャさんって鋭い…。


「はい…。出来ました」


なんか、こういう事言うのって、すっごく恥ずかしい。


「やっぱりそうなのね~。

ーで、どんな人なの?同じ学校の人?」


「そうです。

1年の時から、ずっと仲良かった友達で。

つい先日、付き合うことになったんです」


「へぇ…。友達だった子と、付き合うことになったのー。

友達だって思ってた人を、好きって思うようになったきっかけって、何かあるの?」


えっ?きっかけ?


えっと…。


「友達って言っても、普通の友達よりもずっと仲が良かったんです。

親友っていうか。

すごく大事な人で。

いなくなったらって思うと。

そんなの考えられなくて…」


蒼甫君が、瀬名君みたいにいなくなったら、私はどうにかなってしまいそう…。


「そう。大切な人なのね~。

今度ぜひ紹介してね」


「はい」