結局私は、蒼甫君の腕の中で朝まで眠った。


蒼甫君の腕の中はあったかくて、ホッと出来て、すごく寝心地が良かった。


先に目が覚めた私は、蒼甫君の顔をまじまじと見つめた。


サラサラの前髪にそっと触れてみる。


蒼甫君の寝顔は、子供みたいにかわいい。


私はそっと起き上がり、静かに部屋を出て、一階に降りた。


リビングの窓を開けて、外の空気を吸う。


「ふぅ」


私、男の人と朝まで寝ちゃった…。


私はコーヒーを入れるためキッチンへ行き、やかんに水を入れ火をつけた。





私がコーヒーを飲んでいると、二階からバタバタとものすごい音がした。


リビングの扉を勢い良く開ける蒼甫君。


「ど…うしたの?」


すごい形相の蒼甫君が、つかつかと私に近づいて来る。


そして私の腕を掴んで椅子から立たせると、ガシッと私を抱きしめた。


「蒼甫君…?」


乱れた蒼甫君の呼吸が、私の耳元に響く。


「起きたら優月がいないから、昨日の夜のこと、夢だったんじゃないかって思った。

怖かった」


蒼甫君の声が少し震えている。


「夢じゃないよ。
ほら。ちゃんとここにいるでしょう?」


私は顔を上げてにっこり笑った。


「優月。良かった…」


そう言うと蒼甫君は、スッと私の唇を塞いだ。


突然過ぎて、息が苦しいよ。


強く抱きしめられながらの、熱いキスの嵐。


あ、朝から強烈過ぎる…。