「明日、薫のペンションを訪ねるよ。

やり直そうって伝えてくる。

俺はアイツの事を忘れてたのに、アイツは俺の事、今までずっと思っててくれたんだ。

それに応えないと…」


瀬名君、決心したんだね。


薫さんのところへ行くんだね。


瀬名君が昔、大好きだった人のところへ。


どうしてかな?


なんだか胸が痛い。


瀬名君が遠くへ行ってしまうようで…。


「でも…。ひとつだけ心残りがある」


「心残り?」


瀬名君が私の顔を見て、優しい瞳で笑う。






「優月だよ」




トクンと私の心臓が音を立てる。




「気づいてたかもしれないけど。




俺…。




ずっと、優月が好きだった」