「赤ちゃんが出来たのよ!!!」


薫さんが叫ぶ。


え?


今なんて…?


頭が真っ白になる。


瀬名君も目を見開いている。


「おなかに、裕樹の赤ちゃんが…」


うそ…。


そんな…!


瀬名君は倒れるようにソファに座り込んだ。


顔がみるみる青ざめていく。


「あなたは中学生だったし、高校受験も控えてた。

私もまだ学生だし。

言えるわけなかった。

あなたには荷が重過ぎると思ったの。

私はこれでも、あなたより4つも年上だもの。

だから責任は自分でとろうと思ったの…」


薫さんの目から大粒の涙がこぼれる。


「どうして…。

どうして言ってくれなかったんだよ。

言ってくれてたら…」


瀬名君の声が震えている。


「言えるわけないっ。

言ったって、裕樹を苦しめるだけでしょう?

私のせいで、裕樹の未来を台無しにしたくなかったのよ」


「バカ!それでも!それでも一緒に考えることは出来たのに…」


「そうね。そうすれば良かったのかもしれない。
後悔したわよ…。
だから、今でも裕樹のことが忘れられない」


そんな…。


こんなことって…。