しまった。


優月をひとりにしちまった。


今日の優月をひとりにしておくのはマズイ。


蒼甫がもう戻っていたらいいんだけど。


あっ!


やっぱり!


なんだ?あの派手な連中は!


はぁー、まったく。


「ねーねー。俺らと行こうよー」


げっ!腕まで引っ張ってやがる。


急がないと。


俺は人ごみを、スイスイとすり抜ける。


こんな時、背が高くて良かったと思う。


遠くまで視界が見渡せるから。


「優月っ」


振り返る男ども。


「瀬名君っ」


優月がほっとした顔をして、俺の顔を見ている。


俺は二人の男をギッと睨んだ。


「お前さー、この子の彼氏じゃないんでしょ~?

こんな可愛い子、ほっとくなんてさー。

俺らに譲ってくんない?」


あぁー!どこまでバカな連中なんだ。


とりあえず、その汚い手を離して欲しい。