「こんな変じゃねーよ、俺は。実物のがいいだろ？優月、撮って」


私は蒼甫君にカメラを向けた。


蒼甫君は変顔をしたり、おどけたり、怒ったり、笑ったり、色んな表情を見せてくれた。


ふふ。


蒼甫君って表情豊かで面白い。


おかげで、素敵な写真が沢山撮れた。


次は瀬名君にカメラを向けてみる。


「わーっ、やめて。俺、写真苦手なんだよ」


そう言う瀬名君を、私は追いかけ回してシャッターを押す。


でも、なかなかうまく撮れない。


「優月、今だっ。撮れっ」


そう言って蒼甫君が瀬名君を後ろから羽交い締めにしたので、私はその隙にシャッターを押した。


「おまっ、くすぐるなよっ。やめろって。脇腹はヤバイって」


蒼甫君にくすぐられて笑う瀬名君をカメラに収める。


やっと笑顔が撮れた。


ふふふ。


なかなかいい写真。