「おーい、こっち準備できたけどー?」


リビングから蒼甫君の声がする。


その声で瀬名君は私の手をパッと離した。


「優月が火傷した」


瀬名君はリビングへと向かう。


「えっ?マジ?待ってな。薬出すから」


しばらくすると、蒼甫君がキッチンへやって来た。


「充分冷やした?」


「うん」


私は水道を止めて、タオルで水滴をふいた。


すると蒼甫君は私の手を取り、薬を塗り始めた。


「親指と人差し指が真っ赤じゃん。熱かったろ?」


蒼甫君は優しくそっと撫でるように、私の指に薬を塗ってくれる。


うっ。


なんかドキドキする。


どうしてだろ?


「カップを台に置いてから、スープを注げば良かったな」


私がそう言うと、蒼甫君がフッと優しく笑った。


……。


蒼甫君は笑顔がかっこよ過ぎる。


さっきから二人にドキドキさせられっぱなしだ。