「あら~。あなたが竹内優月ちゃんなのね~。いらっしゃ~い。

甲斐さんから聞いてるわよ。すっごい可愛いじゃな~い」


しばし呆然と立ち尽くす私。


ハッと思い直し、慌てて挨拶をする。


「甲斐さんのご紹介で参りました竹内優月です。よろしくお願い致します」


私はぺこりと頭を下げた。


「礼儀正しいのね~。どうぞ。こっちへいらっしゃ~い」


「…はい」


私はカウンターの奥へと案内された。


中は思ったほど広くはなく、オフィス机が3つ、中央に合わせるように置かれていた。


「優月ちゃんの席はここよ~。どうぞ、座って」


私は言われるまま、その席に座った。


「あたしの事務所、まだ立ち上げて間がないの。2年目だし、業績も安定してなくて。

アシスタントの子を雇う余裕はなかったんだけど、夕方からでも手伝ってもらえるなら、とっても助かるわ」


静華ちゃんからは、男性の社長だと聞いていた。


確かに目の前にいる人は、姿は男性だけど…。


「あたしはこの事務所の社長で、高田勇雄(たかだ いさお)。
よろしくね。はい、これ名刺」


静華ちゃんに『男性だけど、絶対安全』って言われたのは、こういう事だったのね。


「こっちの席のスタッフは、今営業に出てるんだけど、守屋友也(もりや ともや)っていうのがいるから。
多分ほとんど外回りでめったに会えないと思うわ」


「はい」