「そう…。そうだったの。
だから八さんところで、毎日何時間もバイトしてたのね。
何も知らなくて、悪かったわ」


「ううん。あやまることなんて全然ないよ」


今まで私がなぜアルバイトをしているかなんて、誰にも理由を話したことはなかった。


みんなわかっていても、あえて聞かないようにしてくれていた。


それもみんなの優しさだったんだってわかってる。


でも静華ちゃんのようにストレートに聞いてくれた方が、かえって気持ちがラクになることもあるんだなと、私はその時思った。


「で、どんなバイトを探してるの?」


「うーん。やっぱり学校が終わった後に出来て、学校から出来るだけ近い方がいいんだけどね。

なかなか高校生OKで、その条件が揃うバイトがないのよ」


「そう…。わかったわ。私にまかせて!
優月ちゃんにピッタリのバイトを探してあげるから」


「えっ?」


「私の顔は広いのよ。まぁ、広いのは父なんだけどね」


静華ちゃんはペロッと舌を出した。


「まぁ、確かに静華の親父は顔が広いよ。
自分で探すの大変だろ?
静華に任せてみたら?」


蒼甫君が腕を組んだまま言った。


「ありがとう。静華ちゃん」