「ねぇ、前から聞きたかったんだけどさ。

優月ちゃんって、なんでそんなに一生懸命バイトしてるの?

何か欲しいものでもあるの?」


静華ちゃんが私の横の席に座って、綺麗な脚を組んだ。


「アホか!お前」


蒼甫君が、静華ちゃんの頭をポカッと叩いた。


「いったー!何すんのよ、蒼甫っ」


「だから、お前はアホだっつうんだよ」


「何なのよーもう」


「お前みたいな金持ちのお嬢さんには、わかんねぇことだよ。お前ちょっとは空気読めよっ」


「あたしは空気なんて読めないかもしれないけど、わからないことは聞きたい性格なのよ。

優月ちゃんの事、知りたいって思っちゃいけないわけ?」


静華ちゃんのそういうストレートなところ、私は嫌いじゃないな。


「私ね、親に無理言って、青雲に行くこと許してもらったの。

私立なんて行く余裕、ウチにはなかったのに。

だから、私が稼いでるのは学費なの」


静華ちゃんは、ビックリした顔をしている。


「お前みたいに気楽に青雲に来てるのとは、ワケが違うんだよ」


蒼甫君の言葉を聞いて、静華ちゃんは何かを考え込んでいる様子だ。