「髪型だって、出会った頃に比べたらすごく変わったし」


それは瀬名君のおかげだと思う。


瀬名君の家は美容院だから、女性の髪型にはすごく詳しくて、よくアドバイスしてくれる。


こういうのが似合いそうだから、こんな風にオーダーしたらいいよとか、こんなカラーにするといいよとか。


しかも、決して押し付けようとはせず、さりげなく教えてくれるんだ。


蒼甫君と瀬名君のお陰で、私の見た目、少しはマシになったのかもしれないな。


「まぁいいや。無駄話はおしまい。仕事、仕事!」


話しかけて来たのは店長なのになと思ったけれど、確かに忙しくなっていた。


接客や片づけをしていると、時々窓際の席に座っている蒼甫君と目が合った。


そのたびに蒼甫君はにっこり笑ってくれて。


その顔がいちいちさわやかで、私は一人ドキドキしていた。