胸の前で小さく手を振ると、私は店長のいるカウンターへと戻った。


「優月ちゃん、あの男の子と知り合いなの?」


「はい。高校の友達なんです」


「へぇぇ~。背も高いし、カッコイイし、なんか芸能人みたいだね。
もしかして彼氏?」


「いえ、違いますよ」


「またまた~。
優月ちゃん、最近モテるようになったんじゃないの?」


「えっ?どうしてですか?」


「ここ半年ですごく可愛くなったから。
最初ここに来た頃は、メガネかけてていかにも真面目ちゃんだったもんねぇ」


店長の言葉に、思わず苦笑いをしてしまう。


そう。私は入学当初メガネをかけていた。


長い間同じのを使っていたから、あんまり度も合ってなくて、いつも目が痛かった。


そうしたら、蒼甫君が私に『コンタクトにしたら?』って言ったんだ。


よくわからないから、買う時も一緒に付いて来てくれた。