「ずっと彼の片思いだったんだけどね。
中3の時に、その彼の好きな子が、クラスでいじめに遭い始めてね…」


「いじめ…?」


甲斐がうんと頷く。


「そんな彼女を心配した彼が、彼女をいじめから守るようになって…。

それがきっかけで、二人は付き合うようになったの。

二人が付き合い始めたことを知った時には、もう完全に打ち砕かれた感じがしたわ」


「ふぅん…。-で、そいつらって今も付き合ってるのか?」


「ううん。卒業した途端、あっさり別れたらしいの。高校も別々になったみたいで」


「まぁ、よくある話だよな。ーで、甲斐はどうしたわけ?」


「それがね、もうその頃には私の気持ちもビックリするくらいすっかり冷めちゃって。

ホント、自分でも笑っちゃう」


冷めた…?


そんなに好きだったヤツなのに?


「出来ることはさんざんやったし、その彼には何度も告白したしね。

色んな人と付き合ったりして、もう正直疲れたのよ。

それに…」


甲斐が俺に視線を移す。


「今は、他に気になっている人がいるの。

久しぶりに本気になれそうなの。

これからは私、その人に頑張るつもりよ」


そう言って、口角を上げる甲斐。


俺は背中がゾクッとして、思わず目を逸らした。


これは早く何とか手を打たないと、俺、ヤバイことになるんじゃ…?