まったく、損な役回りだ。


なんで俺だけ?


チラリ蒼甫を遠目に見てみれば、優月やさっちゃんと楽しそうに話してやがるし。


アイツ、ひそかに楽しんでないか?


ふざけたヤローだな。


「瀬名君」


出たっ。甲斐静華。


コイツ飽きもしねぇで、よくまぁ毎日俺に話しかけてくるよな。


「もうすぐ試験発表ねー。瀬名君は理系でしょう?数学教えてよ」


うっ。泉が丘から転校して来たお前が何を言ってやがんだ。


お前に教える必要がどこにあんだよ。


あぁーっ。もうどうにかなんねーかな。


「あのさー」


「なあに?」


その仕草、その目。


計算し尽くされてて感心する。


普通の男なら、コロッと騙されるんだろうけど…。


「お前中学の時、どんな奴と付き合ってた?」


唐突に質問してみた。


さすがにびっくりしてやがる。


でももう俺も限界だし、そろそろ何か仕掛けないとな。


「そうね。大勢付き合ったけど」


「へぇ…」


まぁ、そうだろうね。


「本命とは付き合えなかった」


「えっ?」