「竹内は俺の事、恋愛対象として見てないと思う」


「そんなっ。私」


渋谷君の言葉に、思わず椅子から立ち上がった。


「無理しなくていいよ。
竹内、俺が触れようとしたら、無意識に身体が引いてるの、自分では気づいてないでしょ?」


「え…?」


「でもさっきから見てると、瀬名が触れる事には、何の抵抗もないんだ」


意外なことを言われて、私は目を大きく見開いた。


「俺には気を許してないんだよ、竹内は。

でも神崎や瀬名には、すっかり許してんだよ。

そんなニ人に俺が敵うわけないでしょ?」


やだ…私。


渋谷君を傷つけていたんだ。


なんてことを…。


「渋谷君、ごめ…んなさい」


「いいんだ。少しの間でも竹内の彼氏になれたから」


渋谷君はどこまでも優しい。


どうしてそんなに優しくしてくれるんだろう。