教室にいたのは蒼甫君と瀬名君の二人だった。


どうして瀬名君も一緒にいるんだろう?


胸が激しくドキドキしてしまう。


「優月、おかえり」


机の上に座った蒼甫君が、にっこり目を細めて笑う。


立ち上がって、私にゆっくり近づいて来る。


「じゃ、帰ろうか。優月」


そう言って、私の手を引こうとする蒼甫君。


「ちょっと待てよ、神崎」


渋谷君が私の前に立つ。


「竹内は俺の彼女だ」


真剣な顔の渋谷君。


そして蒼甫君も同じように真剣な顔をして、渋谷君を見つめている。


しばらくそれが続いた後、蒼甫君はクスッと不敵な笑みを浮かべた。


「あのさー。ちょっと聞きたいことあんだけど、答えてもらえる?」


蒼甫君が鋭い目で渋谷君を見上げる。


「聞きたいことってなんだよ」


渋谷君は拳にぐっと力を入れた。