わからない。


今日の蒼甫の行動が。


さっぱりわからない。


朝から優月のそばにベッタリだ。


渋谷が何度も来てるのに、そのたびに追い返して。


優月も困ってるじゃないか。


クラスの女子が注目してることに、まさかアイツが気付いてないわけないし。


「ったく、あからさまね~」


ちらり横目で見てみれば、甲斐静華だ。


最近、コイツはよく俺に話しかけてくる。


蒼甫と幼なじみってことで、まぁ一応話すけど、俺はちょっと苦手なタイプだ。


「蒼甫、渋谷に対抗心むき出しなんだもの」


対抗心?


そんなもん燃やしてどーすんだよ。


甲斐にあの画像を見せられた時、俺も蒼甫もショックで声が出なかった。


しかも、優月から渋谷に迫ったって。


優月がそんなに渋谷の事を好きだったなんて。


あんな画像を見て笑っていられるほど、俺は心が広くなくて。


なんとなく優月にどう声をかけていいかわからず、今に至ってんだけど…。


とにかく優月は渋谷に惚れてんだから、蒼甫がどんなに頑張ったところで、もうどうにもならないだろうに。