次の日の朝、頭の痛みが少し残るものの、私はいつも通り学校へ来ていた。


「おはよっ。優月っ」


ぴょんっとうさぎのように、私の目の前の席に座ったのは蒼甫君。


「頭、痛くない?」


そう言って、蒼甫君は私の頭を優しく撫でる。


一部の女の子達の視線を感じ、私は下を向いた。


「一応、病院とか行った方が良くね?」


「だ、大丈夫だよ。そんなに痛くもないし」


「今日、帰りに病院に行こう」


「あ、えと。今日、生徒会なの」


「えー、それ何時に終わんの?」


「17時過ぎくらいかな?」


「じゃ、待ってる」


「へっ?」


蒼甫君、一体どうしちゃったの?


「おはよう」


ふんわりボブの髪を揺らして、さっちゃんが私のところへやって来た。


「「おはよう」」


同時に答えてしまう私と蒼甫君。


「あれ?どうしたの?蒼甫君。めずらしいね。優月ちゃんと一緒なんて」


「俺の打ったボールのせいで、優月が頭打っちゃったからね。
俺、責任あるんだ」


そう言う蒼甫君は、なんだかイキイキして嬉しそうで。


さっちゃんも、そのテンションになんだか戸惑っているみたいだ。


ふと視線を黒板の方へ向けると、瀬名君と静華ちゃんが話しているのが見えた。


私がじっと見ていると、バチッと瀬名君と視線がぶつかった。


心臓がドクンと高鳴り、身動きがとれなくなる。


でも、すぐにそらされてしまった。


瀬名君は、相変わらずみたい…。


でも、蒼甫君と話せるようになったから、それだけでも嬉しい。


このテンションの高さには、ちょっと戸惑うけれど。